後継者不在への対策と廃業を検討する場合の判断基準について
事業を長年続けていると、事業承継について考えるときもいつかはやってきます。しかし現代においては後継者不在の問題が深刻になっており、「この先、誰が会社を継ぐのか」という大きな課題に直面する経営者も少なくありません。
そこで「後継者が定まっていない」「事業承継や廃業について検討している」という方に向けて今後の対処や判断の助けとなる情報を整理しました。
後継者不在への4つの対策
明確な後継者が定まっていないときは、一般に事業の承継方法として次のような手法があるということを知り、それぞれの可能性を模索してみましょう。
主に以下4つの選択肢があります。
親族内承継
もっとも主流ともいえる選択肢が親族内承継です。子どもや配偶者など、親族へと事業を引き継ぐことを指します。
ただし、子どもに経営の意思がない、あるいは経営能力に不安があるケースも少なくありません。無理に押し付けても双方にとって不幸な結果を招くリスクが高いため、本人の意思と適性を慎重に見極める必要があるでしょう。
従業員への承継
社内の優秀な従業員に経営を任せるという手法もあります。
すでに事業内容を理解している人材に引き継げる点がメリットですが、従業員側に株式を買い取る資金力がない場合も多く、この点が障壁となります。
M&Aによる第三者承継
社外の企業や個人に事業を売却する手法もあり、M&Aは親族や社内に後継者がいない企業にとって有力な選択肢となっています。
最大のメリットは、経営者が売却益を得られること、そして従業員の雇用を守れることにあります。ただし買収後のトラブル事例があるため、信頼できる仲介業者の選定も重要です。
廃業という選択
事業を終了させる選択もだめというわけではありません。
「廃業は最後の手段」と考える方も多いと思われますが、自分の代で事業を完結させる計画的廃業という考え方もあります。適切なタイミングで事業を整理することで、影響を最小限に抑えられるケースもあるのです。
廃業を検討すべきケースとは
廃業は覚悟のいる選択ですが、具体的にどのような場合に選択すべきなのか。廃業が合理的といえる状況としては、次のような例が挙げられます。
- 事業の将来性に対する不安が大きく、他者への承継に責任を感じる場合
- 個人的な感性や専門性に強く依存する属人的な事業で、他者による継続が困難な場合
- 健康上の理由で、事業承継の準備に必要な時間が確保できない場合
- すべての承継方法を検討したが、適切な後継者や買い手が見つからなかった場合
事業承継を目指して頑張るべきか、廃業を選ぶべきか、迷ったときは次の項目等も比較検討すると良いです。
比較事項 | 事業承継を選んだ場合 | 廃業を選んだ場合 |
|---|---|---|
金銭面 | M&Aなら売却益を得られる可能性がある ※年商1億円以下だと買い手が付きにくい | 処分費用や退職金で数百万~の負担が発生する ※1人会社など規模が小さければ100万円未満で済むことも多い |
従業員の雇用 | 雇用を維持できる | 従業員を解雇しなければならない |
会社の存続 | 事業や技術を残せる | 会社や事業が消滅する |
経営者の負担 | 承継には時間と労力がかかる ※専門家への相談、代行の依頼で負担を軽減することも可能 | 事業承継に比べると、期間や労力の面で負担は小さい |
地域への影響 | 雇用と経済活動を維持できる | 地域の雇用や取引先に影響が及ぶ |
決断の先送りはリスクが大きい
「今決められないから、またそのうち考えよう」などと、特段の必要性なく決断時期を先送りすることは避けましょう。
後継者の育成に取り掛かるなら数年単位で時間が必要ですし、M&Aでも準備から成立までに1年以上かかるのが一般的です。
急いで進めようとしても準備不足で失敗するリスクが高まります。病気や事故も突然訪れるものですし、準備ができないせいで廃業を余儀なくされる危険性もあります。
時間的にも気持ち的にも、余裕をもって取り組めるうちに複数の選択肢を検討し、準備を始めましょう。
今すぐ始めることとは
何から着手すればいいかわからず悩んでいるなら、以下のような順序で進めていくと良いです。
- 現状を整理(自社の財務状況、事業の強み・弱み、将来性を客観的に分析する)
- 承継方法の検討(親族承継、従業員承継、M&Aについて実現可能性を検討する)
- 専門家へ相談(事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県に設置)や、M&A仲介会社、税理士などに相談する)
無理にご自身だけで考える必要はありません。事業承継の手続きや実情に詳しい専門家も積極的に活用しましょう。プロの知見を活用することでより良い選択を下すことができるようになりますし、その後の手続きについても円滑に進められることが期待できます。
KNOWLEDGE
当事務所が提供する基礎知識
-
親族外の事業承継
日本の中小企業においては、昨今後継者不足に悩まされている企業が多くあります。この後継者不足が解決できなければ、 […]

-
メザニンファイナンス...
資金調達の方法として、デッドファイナンスやエクイティファイナンス、アセットファイナンスといった方法の他に「メザ […]

-
従業員への事業承継
昨今、日本企業の大部分を占める中小企業は、少子高齢化や人手不足等もあり、後継者不足問題に陥っている所が多くあり […]

-
後継者問題をM&am...
事業承継を行う際後継者が決まらないと事業をどのように承継していくのか、そしてどのように事業を続けていくのかが定 […]

-
倒産と破産の違いとは...
会社の経営状態が悪くなったとき、あるいは会社が潰れたときなどに「あの会社は倒産状態にある」「あの会社は倒産した […]

-
黒字倒産はなぜ起こる...
「利益が出ているのに手元の現金が足りない」「支払いに追われて資金繰りが厳しい」、このような状況に心当たりがある […]

KEYWORD
よく検索されるキーワード
ABOUT
M&Aとは
「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。
あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。
そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。
M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。
一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。
MERIT&DEMERIT
M&Aのメリット・デメリット
売り手のメリット・デメリット
1. 従業員の確保
現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。
2. 企業体質の強化につながる
M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。
M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。
3. 売り手の経済的メリット
たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。
この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。
もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。
買い手側のメリット・デメリット
1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる
経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。
そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。
また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。
2. 時間を買うことができる
M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。
3. 失敗のリスクを軽減できる
一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。
そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。
OFFICE
会社情報
当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。
これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。
具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。
この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。
| 会社名 | 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社) |
|---|---|
| 設立 | 平成28年10月5日 |
| 事業内容 | 企業買収および合併の仲介業務など |
| 住所 | 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階 |
| 代表取締役 | 近 暁 |
