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倒産と破産の違いとは? 経営破綻や廃業との違い、手続の違いなどを整理

会社の経営状態が悪くなったとき、あるいは会社が潰れたときなどに「あの会社は倒産状態にある」「あの会社は倒産した」などと表現されることがあります。
また、同様のニュアンスで「会社が破産した」と表現されることもあります。

 

使い分けをされていないケースもありますが、倒産と破産は完全な同義ではありません。特に経営者の方などは適切に使い分けられるよう、用語の意味を正しく理解しておくことが望ましいです。
そこでこの記事で倒産と破産の違い、そして経営破綻や廃業といった用語についてもどのように区別されるのか、解説していきます。

 

倒産に厳密な定義はない

まず「倒産」についてですが、こちらは法令上の厳密な定義はされていない用語です。

 

そのため使用されるときの文脈により異なる意味合いで伝わることもありますが、おおむね次のような意味で使われています。

 

  • 債務の返済ができなくなった状態
  • 業績不振により事業の継続が難しくなった状態
  • 約束手形が不渡りになり銀行取引停止処分を受けた状態

 

「経営破綻」や「廃業」が類義語

倒産に近い意味を持つ言葉としては、「経営破綻」や「廃業」などが挙げられます。

 

法律上の定義がされていない点、そして経営状態が悪化している点で共通していると考えられます。

 

ただ後述するように、倒産状態に陥ったとしても、再建を図る手続により事業を継続できるケースがあります。そのため常に倒産=廃業という関係に立つわけではありません。

 

破産は倒産手続の1

続いて「破産」についてですが、こちらは倒産手続の1種です。
倒産状態となった会社に残された手続がいくつかあるのですが、それら手続をまとめて倒産手続と呼ぶことがあるのです。

 

そして「破産手続」に関しては、破産法という法律で次のように定義されている言葉です。

 

債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続

引用:e-Gov法令検索 破産法第2条第1

 

会社や個人が財産を清算する手続であり、裁判所に申し立てをすることで手続は開始されます。会社の場合、破産手続を進めることで最終的に法人格が消滅し、廃業することとなります。

 

2022年には約6,400件の倒産手続が行われており、そのうち破産を含む清算型の手続が約6,200件行われています(参照:帝国データバンク「全国企業倒産集計2022年報」)。
そのため、倒産手続のほとんどは破産手続として行われており、厳密には異なる言葉とはいえ、実情としては倒産=破産に近い関係にあるともいえるでしょう。

 

破産以外の倒産手続

破産以外の倒産手続としては、「特別清算手続」「民事再生手続」「会社更正手続」などが挙げられます。

 

破産手続のように会社が消滅する清算型と、債務を圧縮して再起を図る再建型に分けることができます。また、各手続のルールを規定した法律もそれぞれに異なっています。
それらを簡単にまとめたのが下表です。

 

倒産手続のタイプ

倒産の具体的手続

根拠法

清算型

破産手続

破産法

特別清算手続

会社法

再建型

民事再生手続

民事再生法

会社更正手続

会社更生法

 

破産手続や民事再生手続については、それぞれ清算型倒産手続と再建型倒産手続の基本形であり、法人・個人問わず利用できる手続です。
一方、特別清算手続や会社更生手続については、法人である会社に限り利用できる手続です。

 

倒産と破産の違いまとめ

破産は倒産の1種ですが、法律上の定義がなされている破産に対し、倒産に厳密な定義はありません。

 

「あの会社は倒産した」と表現される場合、当該会社はすでに破産をして消滅しているかもしれませんし、まだ債務超過になった段階であって再起ができる状態であるかもしれません。
一方、「あの会社は破産した」と表現される場合、当該会社は破産法で定義された破産手続により消滅したことがはっきりします。

 

そのため倒産は破産に比べて広義であり、その分曖昧さを含む言葉であると説明できます。

 

なお、倒産手続と破産手続はどちらも「健全な経済活動のためになる」という点では共通しています。
経営者や従業員など、労働力を社会に再分配することに繋がります。会社債権者としても、いつまでも回収できない債務があるより、一部でも回収できた方が良いでしょう。回収できなかった部分についても損金処理ができます。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

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会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁