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【廃業届】書き方や提出期限、同時に提出するその他の書類についても解説

個人事業主が事業活動を終了するときは、終了の理由にかかわらず、税務手続きの1つである「廃業届の提出」を行いましょう。廃業届の書き方や廃業理由別のその他必要書類について当記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

廃業した個人事業主は廃業届を提出する

廃業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」のことで、個人事業を始める際に税務署へ提出した様式と同じものを使用します。

 

様式は税務署で入手するほか、国税庁HPからもダウンロード可能です。

※様式:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/r06/05.pdf

 

なお、廃業届の提出は法律上の義務とされています。次のように所得税法で提出すべきことが法定されています。

 

(開業等の届出)
第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 所得税法第229

 

この書面の提出をもって、税務署は事業の終了を正式に把握することとなり、以後の税務処理が適切に進められるようになります。

廃業届の書き方

様式を見ていただければわかるように、廃業届の様式はシンプルで、作成作業もそれほど複雑なものではありません。

 

廃業する方の個人情報、事業に関する基本的な情報などを記入欄に沿って記載していくだけです。

 

以下の点をチェックしながら作業を進めていくと良いでしょう。

 

廃業届作成時のチェック項目

「納税地」

自宅の住所や事業所の住所、電話番号を記載

「上記以外の住所地・事業所 等」

「納税地」で記載したもの以外に住所や事業所がある場合にのみ記載

「個人番号」

事業主のマイナンバーを記載

「職業」および「屋号」

開業届で届け出をしていた情報をそのまま記載

※屋号は定めていた場合のみ。

「届出の区分」

「廃業」にチェックを入れ、廃業理由を簡潔に付記

※例)経営不振により事業継続が困難なため、法人成りのため、健康上の理由 など。

「所得の種類」

廃業する事業に関する所得が不動産所得なのか、事業所得なのか、山林所得なのか、該当するものを記載

※事業活動の一部を廃業する場合は「一部」を選択し、該当する所得を()内に記載。

「開業・廃業等日」

提出日ではなく実際に事業を廃業した年月日を記載

「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」

青色申告や消費税の納付をしていた場合に「有」をチェック

※ないなら「無」にチェック。

「事業の概要」

廃業する事業について詳細に記載

「給与等の支払の状況」

従業員を雇っていたときには、①従業員数、②給与の定め方、③税額の有無を記載

※②には日給・月給等の区分を、③には給与の支払い状況などからみて源泉徴収すべき税額があるかどうかを記載。

廃業届の提出方法・提出期限

廃業届の提出期限は廃業の日から1ヶ月以内です。

※提出期限が土日祝日にあたるならその翌日が期限となる。

 

提出方法は次の3つから選択できます。

 

  1. 税務署の窓口に持参する方法
    → 直接税務署へ書類を持参し、受付時間内(平日の830分~17時)に窓口で提出する。
  2. 郵送で税務署に提出する方法
    → 本人確認書類のコピーを同封する。
  3. e-Taxで電子的に提出する方法
    → パソコンから、e-Taxソフトを使ってオンライン上で提出。利用者識別番号の取得が前もって必要だが、e-Taxを使う場合は本人確認書類の提示やコピー添付が不要。

 

期限内に適切な方法で、「納税地を所轄する税務署」にて手続きを行いましょう。

廃業届以外の提出書類

廃業時、場合によっては廃業届のほかに提出すべき書類も発生します。

 

1つは「青色申告の取りやめ届出書」です。
青色申告の承認を受けていた個人事業主に必要な提出書類で、廃業した年の翌年315日までに提出しなければなりません。

様式:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/12.pdf

 

もう1つは消費税に関する「事業廃止届出書」です。
消費税の課税事業者であった場合に必要で、期限については明記されていないものの、速やかに提出することが求められています。

様式:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_06.pdf

事業主が亡くなって廃業するときの提出書類

もし、事業者本人の判断による廃業ではなく事業者が亡くなったことに伴う廃業であるときは、相続人が所定の手続きを行わなければなりません。

 

この場合、廃業届の「届出の区分」には「事業主死亡のため」などと記載しましょう。

 

ほかにも、亡くなった方が青色申告の承認を受けていた場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を亡くなった年の翌年315日までに提出。消費税の課税事業者であった場合は「適格請求書発行事業者の死亡届出書(インボイスを発行していたケース)」または「個人事業者の死亡届出書(インボイスを発行していなかったケース)」を速やかに提出します。

 

さらに相続人には「準確定申告」の義務が生じることもあります。
準確定申告とは、亡くなった方の11日~死亡日までの所得に関する確定申告のことです。一般的な会社員とは異なり、毎年確定申告を行っていた事業主が亡くなったときは、準確定申告が必要である可能性が高いため、注意してください。

※準確定申告は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に行わなければならないため、申告期限には注意が必要。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

OFFICE

会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁