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倒産手続きってどうやって進める?経営者が知っておきたい制度やその選び方など

「資金繰りが厳しくなり、このままでは支払いが困難になりそう」という状況に直面した経営者は、早めに倒産手続きについて検討を進めましょう。倒産といっても会社を畳む以外の選択肢もあります。具体的にどのような手続きを選べば良いのか、どんな準備が必要なのか、当記事では、倒産手続きについて経営者として知っておきたいポイントを分かりやすく解説していきます。

「倒産」にもいろんなパターンがある

倒産手続きを検討するにあたって、まず整理しておきたいのが「倒産」という言葉の意味です。この言葉は日常的に使われているものの、実は法律上明確な定義がなく、人によって異なる意味で使われることがあります。

 

一般的に倒産とは、企業が債務の支払いを継続できなくなった状態を指します。「倒産=会社の終わり」という認識を持っている方も少なくありませんが、清算して会社を消滅させるだけでなく、その後事業を継続しながら債務を整理する倒産手続きもあるのです。

倒産手続きの種類

日本の法制度では、財政難に陥った会社が利用できる法的手続きとして、主に4つの選択肢が用意されています。それぞれ目的と特徴が大きく異なるため、会社の状況に応じた適切な選択をする必要があります。

破産手続き

「破産手続き」は、会社を清算することを前提とした手続きです。

 

裁判所が選任する破産管財人が会社の財産を現金化し、債権者に配当を行います。債務超過に陥っている場合でも破産をすることでそのプレッシャーから解放されることでしょう。しかしながら、破産後は法人格が消滅するため会社も存在がなくなり、事業の継続も不可能になります。

 

そのため、資産がほとんどない場合や事業の立て直しが現実的でない状況など、最終手段として検討すべき手続といえます。

民事再生手続き

「民事再生手続き」は、事業を継続しながら債務を大幅に圧縮し、会社の再建を目指す手続きです。

 

原則として現在の経営陣が事業運営を続けられますし、債務の減額幅も大きく、一般的に70%から90%程度の債務カットが可能です。

 

ただし、手続きにかかる費用が大きくなる傾向にあり、予納金に数百万円以上かかることも珍しくありません。また、債務のカットが認められるには、自社で再生計画を策定してその内容が裁判所で認められなければなりません。

会社更生手続き

「会社更生手続き」は、株式会社のみが利用できる大規模な再建手続きです。裁判所が選任する管財人が経営権を握り、抜本的な事業再構築を実施します。

 

この手続きは大企業の再建で用いられることが多く、中小企業による利用はあまり多くありません。また、経営陣が交代することになるのも特徴的です。

 

社会的影響が大きい企業や、従来の経営陣では再建が困難と判断される場合に選択を検討することになるでしょう。

特別清算手続き

「特別清算手続き」も、会社更生手続き同様に株式会社のみが利用できる手続きです。しかし、再建ではなくこちらは清算を行う手続きですので、性質としては破産手続きに近いものといえます。

 

破産手続きとの使い分けとして、特別清算手続には、「通常の解散・清算では対応が困難な場合に対応できる」という特徴があります。また、破産手続きより手続きが簡便で、債権者全員が同意すれば債務の減額も可能という特徴も持ちます。ただし、債権者の協力が前提となるため、対立する債権者がいる場合には適用が困難で、手続きが中止され破産手続きへ移行することもあります。

どの手続きを選ぶべきか

適切な倒産手続きを判断する上で最初に検討すべきは、「事業の継続可能性」です。

 

債務を圧縮して黒字経営に転換できるか、市場での競争力はあるか、優秀な人材は残るか、などを客観的に評価します。継続が困難であれば、清算型の手続きを選択することになります。

 

次に重要なのは「主要債権者との関係性」です。銀行などの金融機関が再建に前向きであれば民事再生手続きが現実的ですが、回収を急ぐ債権者が多い場合は破産手続きを選択せざるを得ないこともあります。

倒産手続きを円滑に進めるためのポイント

倒産手続きを円滑に、想定外のトラブルに見舞われることなく進行させるには、次の4つのポイントを押さえて取り組むことが重要です。

 

手続き上のポイント

詳細

専門家の選定

倒産事件に対し豊富な経験を持つ弁護士を選定する。一般的な企業法務とは異なる専門性が求められるため、類似案件の実績と費用体系を事前に確認することが重要。

必要な費用・期間を知る

数百万円、あるいはそれ以上の費用がかかるケースもあり、手続きには年単位の期間を要することもある。倒産にも費用と時間がかかることを理解し、早めに計画を立てるべき。

情報を漏らさないこと

倒産の噂が広まると、取引先からの取引停止や債権者による差し押えなどが発生し、手続きに重大な支障をきたす可能性がある。従業員や関係者への説明は手続きが実行されるまでは控えて、必要最小限の人員のみで準備を進めることが原則。

債権者平等が原則

特定の債権者だけに優先的に支払いを行うことは法的に問題となる可能性がある。債権者を平等に扱うことが原則であると知り、手続き前の偏頗弁済(へんぱべんさい)は避ける。

 

倒産は重大な決断ですが、上記のポイントを踏まえ、適切な準備と専門家のサポートがあれば、最適な手続きを選択することや手続きの進行に対しても上手く対処することができるでしょう。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

OFFICE

会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁