株式会社日本企業評価会計事務所 > 後継者問題 > 廃業をするための手続き|税理士に依頼すべきケースとは

廃業をするための手続き|税理士に依頼すべきケースとは

廃業は事業者にとって重大な決断であり、その判断は慎重に行う必要があります。またその手続きに際しては税務上の問題やペナルティが発生するリスクもあるため注意が必要です。

税理士への依頼は必須ではありませんが、専門家のサポートが有効となるケースが多いため相談・依頼も検討してみてください。

個人事業主が廃業するときの手続き

個人事業主と法人とで、廃業の進め方は大きく異なります。

 

個人事業主は法人に比べて比較的シンプルで、従業員や取引先への通知、そして解雇や債務の弁済、各種届出書の提出を行います。個人事業主が比較的簡単なのは、法人のように「解散」という概念がないためです。そのため「事業を廃業しました。」となった時点で事業は終了させられます。

 

なお、「廃業届」の提出期限は廃業した日から1ヶ月以内であり、事業拠点を管轄とする税務署に提出※しましょう。廃業時期を選択する余裕があるなら、年度末を廃業日にすることで確定申告などの手続きはスムーズに進めやすくなるでしょう。税務に関する書類作成の負担も軽減できます。

※都道府県税事務所での手続きが必要になる場合もあり、業種や自治体ごとのルールも要確認。

税理士への依頼が推奨されるケース

事業所得が一定額以上あると確定申告の義務が課せられるため、廃業した年の11日から廃業日までにある程度の所得があるなら、翌年216日から315日までに確定申告を行わなければなりません。特に青色申告を行っていた方や消費税の課税事業者であった方は税務に係る手続きがより複雑になるため、税理士への依頼が推奨されます。

 

また、節税対策に取り組みたい場合にも税理士の活用を検討すべきです。

 

もし法人成りのために個人事業を廃業するのなら、個人の確定申告と新設法人の確定申告の両方が必要となりますので、より高度な専門知識が必要となります。廃業後の費用の経費計上や減価償却資産の処理、税務上の特例を適切に活用したい場合などにも、専門家のサポートが効果的です。

法人が廃業するときの手続き

法人の廃業は「解散」と「清算」という2つの段階に分かれます。

 

解散とは法人としての活動終了を意味し、清算は残った会社財産の処理を目的とした手続きを意味します。まずは解散を行い、解散登記がなされた「清算会社」となります。清算会社は通常の営業はできませんが、清算を行うために存続します。

 

株式会社であれば株主総会の特別決議により解散決議を行い、清算人を選任します。その後、清算人就任登記および解散登記を行って、解散の通知や公告を実施します。会社財産の現況を調査のうえ、債権者保護手続き※をとり、残余財産の確定を経て、最終的な清算結了登記を行うことによって会社は消滅します。

※債権者保護手続きでは、会社債権者に対し異議があるなら一定期間内に申し出ることを求める。この申し出期間に一定の猶予を設けなければならないことから、解散から清算までには通常3ヶ月ほどはかかる。

税理士への依頼が推奨されるケース

法人の廃業では複数の確定申告が必要となります。

 

1つは解散事業年度における確定申告で、解散の日から2ヶ月以内に行います。当該年度における解散の日までの損益を計算して、例年のように確定申告を行うものです。

 

もう1つは残余財産に関する確定申告です。解散に伴い資産・負債の整理を行いますので、その過程では買掛金・未払金の支払いなどのほか、売掛金の回収や在庫の売却、不動産の処分なども行います。そのため場合によっては課税所得が発生して法人税が課されることもあるのです。この清算中の事業年度に係る確定申告を、残余財産が確定した日から1ヶ月以内に行わなければいけません。

 

いずれの確定申告においても税理士のサポートが有効ですし、短期間のうちに手続きを済まさなければならないため、対応に少しでも不安があるのなら税理士にご相談ください。

廃業の検討段階から税理士がサポート可能

廃業に関して税理士がサポートできることは多くあります。廃業の手続きに対するアドバイスもそうですが、その前段階からご相談いただくことで、現状分析から問題の特定・分析、廃業以外の選択肢の検討などの面でも支援が可能です。

 

《 廃業までに事業者が検討すべきこと 》

 

  1. 現状分析
    • 利益率の変化、キャッシュフローの動きなどを客観的に把握。借入金や買掛金などの負債状況、設備や在庫などの資産価値、運転資金の状況なども含めて事業の財務的な健全性を総合的に評価することが必要。
    • 税理士は財務諸表を正確に作成し、分析のための根拠資料を用意できる。
  2. 問題の特定
    • 業績不振などに陥ったときは、その原因を特定して改善の可能性を評価していく必要がある。経営者の個人的な事情によるものなのか、業界全体の構造的な問題なのか、など問題の本質を見誤らないようにしないといけない。
    • 税理士は財務データの分析を通じて業績悪化の原因特定に取り組み、改善計画の策定のサポートができる。
  3. 選択肢の検討
    • 廃業のほか、商品・サービス見直し、新分野参入や業態変更による事業転換、コア事業への集中による規模縮小、M&Aなど、さまざまな選択肢から最適なものを検討する。
    • 各選択肢が自社にとって適しているものなのかどうか、経営に精通した税理士であればアドバイスを行うことができ、経営者の意思決定を支援する。

 

廃業は従業員や取引先にも大きな影響を与えることになりますので、税理士も活用のうえ、慎重に判断することをおすすめします。

KEYWORD

よく検索されるキーワード

ABOUT

M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

OFFICE

会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁